強がりエンプティ
 
それでも夜は、あけてゆくの
ねえどうして、
憎しみばかりが、力になるんだろうね
繰り返すために生まれたんじゃない
それなのにまた独りきり
…want you.want you
それでも夜は、あけてゆくの
親愛だって愛情に勝てるわけもなくて
綺麗事だけじゃ、生きてはゆけなくて
受け入れて!って、叫んではみるけど
さらけ出せない毎日を誰か悲しいと言ってくれますか。
ねえどうして。
何も怖くないって、言い切れないんだろう。
憎まれることも受け容れられたら、ラクになる気もしてた
…want you.want you.
それでも夜は、あけてゆくの
愛情なんて一瞬でみたら、寂しいもので
溢れ出す痛みを、止める術もなくて
綺麗事ばかり、やけにこびりつくけど
信じきれない毎日を、誰か悲しいと言ってくれますか。
 
 
誰も知らない、
始まりはちいさく、
それでいて確かに呼吸をしたの。
さあ今、その剣を唇に、あてて
こんなにも綺麗な夜を、憎しみに染めてしまわぬように
いっそ沈めてよ。
重なった感情に、”終焉”を見据えてしまう前にさ、
 
 
それでも夜は、明けてゆくの。
いっそ絶望なんて、名前をつける前に
嘆きと共に、重ねた手の温度を刻みつけてゆけばいいんだ、
そんなものすら、無意味なほどに。
 
 
 
 
片言哀歌
 
今から、ひとつウソをつくよって
笑えば君はその言葉の真意を
はかろうとして、くれますか。
 
 
ただ、傍に居たかった。
そういうこと、なんだと思う
きっと、たかがそれくらいを
破りながら生きてゆく。
 
出逢わなければ始まりすらしないのにって、
君は唇を尖らせるけど
 
くすみガラスに、光は揺れた
今から酷いこと言うよって
笑ったあたしを映したって
その耳を塞いでは、くれないクセに
 
ただ、傍に居たかった。
それはたかがの結末であって。
本当は答えにきづきながら、最大限目隠しをして。
 
出逢わなければ、すれ違うだけの事実が怖いのって、
君は涙を流さないけど
 
くすみガラスに、光は揺れた
ただ証が欲しいのって、
たとえいつだって終わりには
優しさが伴わない、ものだとしても。
 
…ああ、透明なまま
朽ちてゆけるなら
 
 
 
今からひとつ、嘘をつくから、
どうか巧く騙されて欲しい。
空中遊泳
 
はだしのまま、
さらりほどけた。
耐えきれず零れ落ちたシグナルは
これでもかってくらいに、その存在意義主張する
目を閉じたままで、泳いでいたかったよ。
そうして触れた、
優しさと名のつくものに
だけどいつだって、唇を噛む。
私はきっと、
上手な呼吸を探す銀色の魚で
君はきっと、
その琴線に触れるなんて
罪を犯したの。
愛しさ故、さらりこぼれた。
こんなにも世界は正しく廻るのに。
誰かの優しさに触れる度
何故だろう、何か足りないの。
目を閉じたままで、もしも出逢えていたなら
そうして気づく、
重なる度違える予感に
仮面を取り去る、こともできずに。
私はずっと、
紡ぎきれない寂情をただ、持て余して
君はそっと、
なんて残酷な薬指で
縛りつけるの?
私はきっと、君を求めていた筈で。
弾けたガラス玉は、
もう戻らないと、その破片で指を切って
やっと思い知るの
夢一夜
 
向き合えなくなってしまったのは、
いつからだろう?
明日が来ることで変わりゆくものがあるのなら
独りきり、孤高の岬だって構わないかもしれない。
だってこんなにもさ、簡単なことだから。
嘆きのララバイに
ただ目を閉じれば。
それは優しさにも、痛みにも似ていて
果ててゆく何かに”終焉”という名をつけるなら。
この夜の意義を、
せめて指先に絡ませていてよ。
一夜の涙は誰かに、届くと云います
淋しさを紡ぐ術が、
抗う術すらないのなら
夜と同じ色した傘をどうか、その手に。
ついでにそこへ欲しい答えだけ、流れてゆけばいいのにね、
藍い夢はるるりら、
夜明けへと運ばれてくの、
誰も知らない、
知らなくていいの。
群青
 
生まれて初めて、
指先に触れたのは其の色で。
そして貴方の指先が繰り出す、
夜の色を知った瞬間に
ああ、私は帰ってきたのだと
思い知ってしまったの。
溶けてゆく残像、
今日もどうやら、目覚めることができたよ。
私の世界もまた、呼吸を始めたよ。
覚醒に揺れる頭に、貴方の声がまた
残酷な愛を落とす。
…ドコカ、トオクデ。
生まれて初めて、この指先は奇跡を知る
そして今日も目を閉じた先に
明日を信じる意味があると言うのなら
その言葉を信じ切れるだけの世界から教えてよ。
きっと期待してた、
見返りの裏切りすら、愛と知ったから。
ぶつかった瞳の奥、
言いかけた貴方から目を逸らして。
そして、世界におやすみ。
大丈夫、
昨日の空はまだ、すぐ近くに在るよ。
私の世界をまだ、誰かが求めるよ。
落ちてゆく夢の狭間に、指先が核心を求める度
貴方の残り香にまた、手を伸ばす
…ドコカ、トオクヘ
生まれて初めて、この指先は奇跡を知る
そしてまた今日も誰かの為に
息をすることを愛と呼んでしまうなら
この呼吸に存在をはかるための理由を与えてよ。
きっと期待してた、
何かを終わらせてくれる、気もしたから。
重なった感情の奥、
気づいてしまった背徳にくちづけて
そして、世界におやすみ。
目を閉じれば、朝は来るのと
騙されるほど、子供じゃないよ
だから目を覚ます度に、
世界の始まりすらわからないほど
…それこそ息が、止まるほど
きつく、きつく、
閉じ込めてよ。
生まれて初めて、指先に触れたのは其の色で。
そして貴方の指先が繰り出す、
夜の色を知った瞬間に、
ああ、私は帰ってきたのだと、
目を閉じる度に、その変わらない笑顔と
呆れた声で
私の頬を拭う、
貴方に今日も、おやすみ。
Immoral blue
 
きっと、生まれた時が完成形で
そうしてあたし達は少しずつ
コワレながら、大人になってゆくの。
生きてゆくことで、くすんでゆく証を
きっとあなたも、掴もうとしていた
だってあたしの中の、冷たい破片にすら
あなたが笑ってみせるから
ほらまた、望んでしまうの。
許さないでよ、
こんな暗闇に優しさを残さないでよ。
産み落とされただけ、
望みなどしていないと、
不幸ぶるその伏せた瞳に嘆きは要らない。
諦めたように笑う背中には
何一つ届きはしないから
だから愛されたいなんて、簡単に、
望んではいけないんだよ。
生きてゆくことで、暖め合う証を
きっとあたしも望んでいただけ。
求められなければ、息をする価値も無いと
震える唇は、ただ嘘を求めてた
だって違う形の、悲しみをぶつけ合うことでしか、
満たされることもないから
ほらまた、縋ってしまうよ。
救わないでよ、
孤独を忘れたら、壊れてしまう気もするから。
世界中でただ一人、
見つけてくれれば、それでいいの。
思いがけず触れた光に目を細めながら
息をすることに、罪なんてないの
核心を避けた言葉に希望だってないわ。
誰かの叫びを隠す、夜明けの色に落ちてゆくのなら
産まれ落ちてきたのだと、いつか言ってみせてよ。
抱きしめてみせて、
それが何よりも生きる意味になるから
きっと生まれた時が完成形で
そうしてあたし達は少しずつ、
コワレながら大人になってゆくの
描ききれない理由は、此処で探せばいいよ
そして絶望の中で幸せを謳うことこそ
強さだと知る。
敗北チェリー
 
嘆きのチェリー、
くらり、落ちてゆく
夜の帳に淡いまま溶け出して
今闇を裂く。
許し合うことが、きっと全てじゃなかった
知りながら爪を立てて、笑ってみせた
…閉じ込めたつもりでしょう?
”誰か”に代えたって、その剣を振りかざすというのなら
何も傷つけない、結末を望むわ。
そっと、引き金を引いた
きっと此処が、絶望なのだと
思う度、嘘と気付く
冷えきったままの感情が重なれば
憎しみに色をつけるだけ。
堕ちてゆく優しさほど
残酷なものもないのにね?
Oh,my cherry…
憂いてみせるだけ。
幼気チェリー、
くるり、散り果てた
震えていただけの、ずぶ濡れの感情は
その傘に愛を謳う
息をする毎に、
溺レユク、コワレユク。
問われる度息を止めて、笑ってみせた
手懐けたつもりでしょう?
いっそ此処が、絶望だったなら
救われた?なんて、思ってみるの。
触れた指先は、確かに此処に在るの
涙の筋が夜明けに染まる頃
愛されたいと、焦がれた数だけ
嘘を知る、傍にいるほどに
世が明けたら、ただ消えゆくだけ、だとしても。
瞼の裏刻みつく残像に今日も溺れながら
Oh, my cherry…
もし進むべき道が暗くても
そう、my cherry,
そんなもの、光に変えればいい。
Imitation
たとえばうつくしい花弁を、永遠の産物とする様に
たとえば儚い水泡を、ガラス玉に似せる様に
そんな風に、生きてゆく
押し固めた狂気と自らの呼吸の狭間で
浅い夢を見ることが出来たなら
きっと生きてゆけるのよ。
誰も、皆、きっと。
たとえば陶器の素肌に、唇を這わす様に
たとえば拙く綻んだ、夜の糸を解く様に
そんなことで、満たされる。
世界からの嘲笑と自らの内圧に阻まれて
何一つ曇りもしないガラスの中じゃ
きっと生きてゆけないの。
誰も、皆、きっと。
だって所詮は真似事の
空虚なサイクルに身を投げ出す
身一つの仮面じゃ何一つ守れないと知りながら
そんな風に、愛される。
張り詰めた呼吸と、ほどかれてく細い糸にいつも嘘は絡まって。
夜の帳が下りるわ、
語り過ぎた物語も、きっと真似事だったの。
そんな嘘で、
心を、裂くの。
cobaltic
 
夏風、ゆらり。
爪先を染めた
不確かな熱に触れた瞬間
色づいてく、始まりの風を溶かして

きっと、薄いガラス越しの
くすんだ世界で満ち足りてた
唇の端に本音を隠せば
世界は巧く、まわってくれたのに

緩い微熱に侵されて
窓の向こうを望んでしまった
ほら、嘘だらけの日々が、おわってゆく

夏風、ゆらり。
唇をほどく
溢れてく嘘が息を止めるから
満たすための、呼吸なんてもう教えないで

夏色、はらり。
指先に溶ける
暗闇を彩るその残像も
目を閉じれば、いつだって忘れられたの 


きっと、望まない笑顔の数だけ
くすんだ涙を閉じ込めてきた
この手で掬えるだけの至福と
拙い安らぎで 生きてゆけたのに

だけど瞼の残像は 確かに貴方を覚えてる
息をする理由を またひとつ刻む様に

夏風、ゆらり。
偽りをさらす
瞬間の光にまた揺るがされる
おどけてみせる いつものあたしらしくないの

夏色、はらり。
この喉を焦がす
溶けきれない思いは夜に落ちてく、
目を閉じても 灼きついた色を隠して


あどけなさを棄てた瞬間に
この夜は始まった
だって貴方の呼吸すら、
生きる意味のひとつになったの


夏風、ゆらり。
首筋をさらう
その笑顔の理由が此処に在るなら
寝グセの残る、不器用なままだっていいわ、


夏風、ゆらり。
指先を染める
嘘にまみれてた昨日も消さないで
ほら目を閉じて、
不器用な明日を望むの
 
だから今日も、
指先で踊るコバルト、
 
 
夜明けの街
 
夜明け前の、青い風で連れていってくれるなら、
もう、何処へだっていいの。
 
 
鍵はかけてきたわ。
涙もすべて、棄ててゆくつもり。
どうか私の知らないところで
無垢なまま眠って欲しい
 
だからはぐれた星屑が、
朝に溶けてゆくように
偽ること覚えた唇を
時々叱って、満たして欲しい。
 
夜明け前の青い風で、連れて行ってくれるなら
もう、何処へだっていいの
そしてできるなら今度は、呆れるほどに優しい空を
アナタの舌打ちの、ない世界へ。
 
 
愛を知った筈よ、
エゴも全部わかってたつもり。
 
だから泣き疲れた鳥が、
朝を教えるように
汚れてしまったこの腕と
彷徨ってくれるあなたを欲してた
 
夜明け前の、青い風で連れてってくれるなら
もう、何処へだっていいの。
そして、出来るなら今度は
冷たい雨の降る世界を、
あなたの優しさの無い世界へ。
 
 
帰れない罪と、唇から剥がれた贖罪。
これでいいの、
全てを抱いて生きてゆくと決めたから。
 
 
夜が明ける前に、此処に全て隠すから。
もう、さよならで、いいの。
だからもう一度会えたなら、泣きたいほどに優しい腕を、
目を閉じたまま、魅える空を。
 
夜明け前の、青い風で
連れてってくれるなら
もう、何処へだってよかった。
そして出来るなら今度は
貴方無しでも強く居られる私を産み落として。
ダウト
 

喘ぎが気に障るのなら、

その耳を塞いでしまえばいい

視界を侵食するのなら、

まっくらにしてしまえばいい

 

ありきたりな感情に、嘘ついて何を今更

偽善者ぶってるのよ。

 

 

濁ってゆく日々が

こんなにも不埒なものだと

わかってたなら、わかってたなら!

鍵のおちる音に怯える日々などなかったのに。

 

舌打ちがこびりついたから

この耳を塞いでみたんだ

視界が不快だったから

いっそ閉じてやったの

 

もういいよ、

音も光もない部屋で

なんでもないように、笑ったげるからさ。

 

 

喘ぎが気に障るのなら、

その耳を塞いでしまえばいい

視界を侵食するのなら、

まっくらにしてしまえばいい

 

ありきたりな感情に、嘘ついて何を今更

偽善者ぶってるのよ。

 

 

リルハ・ハルリ

 

どうして、委ねられないの?

もっと傷つけてくれなくちゃ意味がないよ。

 

あなただって、アイツとおんなじ。

いつか壊したくなってしまうんだって、

だから何処か裏切りを

期待、してるあたしが居る。

 

歪なさくらんぼの、片割れがきっとあたしで

口先で弾けば、あなたにももう、もとには戻せないでしょう?

優しさに乗っかって、

もっともっと困らせたいの。

 

ねえ、チェリー、チェリー、ねえチェリー。

 

 

従順なだけじゃ、つまんないの。

もっと、壊してくれなくちゃ、意味がないよ。

 

近づくほど嫌いになってゆく、

じれったいだけのジレンマ。

だから、頬杖の向こう側、

ミルクティーが冷めてゆく、

 

汚れたさくらんぼの

片割れもきっとあなたで

何でもないように、笑う度に、馬鹿じゃないの?って思ってる。

優しさに傷ついて、もっともっと困り果てた

カオをして、ねえチェリー。

 

 

歪なさくらんぼじゃ、

いつかまた、取り落とすだけ。

傾いてく視界に、あなたはまたやさしく。

 

ああ!もう!どうすればいい?

そんな困ったカオばかり、

させたいわけ、じゃない。

 

 

Color code

 

絶望の淵と、世界の裏側。

イコールで結べば、僕の上に輝く太陽

それをただ哀しいとうそぶくだけの唇

 

 

汚れたのはあたし、でしょうか。

流れゆく人混みは無感情で。

嘘のない言葉は何処で輝けば、いいと?

 

何も知らない、与えようともしない、

それでいて世界を、これ以上染めると?

 

絶望の淵と、世界の裏側。

イコールで結べば、僕の上に輝く太陽

すべてを地平線でつなげば、

此処へ戻ってきてしまうのに。

 

まだ何一つ、終われてもいないのに。

 

 

 

本当にイケナイことは、理由なく裁かれるから

甘んじて呼吸をするなら、此処に、居ても、いいと?

 

何も言えない、都会の隅にだって

貴方の知らない涙が在る

 

哀しみの雨と、世界の裏側。

イコールで結べば、僕の上に輝く太陽

すべてを地平線でわければ、理由なき銃声が鳴るのに、

 

まだ少ししか、わかってもいないのに。

 

 

ねえ。

無力ならばこれ以上、命だって増えないの。

与えられた意味はきっと、

もっと、もっと、ずっと。

 

 

絶望の淵が此処に在るなら、

目を閉じて遠い、幸せを分かつ。

 

すべてを一つの手で出来るほど、ラクなことだけじゃないの。

 

終わらせること、始めること、

すべてを乗せて今日も

朝が来る。

 

 

 

スノウ・スケイプ

 

灰色に染まる街

真っ白な世界なんて、未だに見た試しもないけど。

足跡が残された、

汚れた道は何処か、あたし達みたいだねと

 

静かに終わろうとする

雪に似たつめたい、夜の中で

 

ヘッドフォン越しに、君の優しさを知ってた。

だから尚更、

言い出すなんて出来なかった。

歪に重なった冬の欠片

ほら掌を剥がれてく

 

 

白い吐息積もらせた

大人になりかけた爪先そっと隠すように

 

冬が終わりを告げれば、

指先を暖める理由もなくなるねと

 

ヘッドフォン越しに、懐かしい歌が聞こえた

柔な感情は、少しずつずれ始めてたから

歪に重なった指先を

ほらゆっくりと、離してみせた

 

 

たとえばこの街が今日と同じ、

灰色にその身を染める頃

今よりも少し冷たい掌で、

足りない呼吸をきっと思い出してしまうから

 

静かに始まりかけた

恋に似たつめたい、くちづけで

 

 

ヘッドフォン越しに、君の優しさを知ってた

だから尚更、

好きだなんて言えなかった。

歪に重なった、冬の欠片。

喉元を流れてく。

 

君の涙なんて、

知る由もなかった。

それはきっとうつくしく、世界を彩ったのでしょう。

 

歪に、愛した、冬の終わり。

その横顔を覚えてる。

 

 

 

Sacred to you

 

残響にまみれた部屋に、

薄くはびこる淡い記憶

崩れゆく真実にさえも、追いすがりたいなんてもう、思えないから。

 

夜の街に踊る光

惑わせてくれるなら、

こんな風にすべてが嘘だったって、いいの。

 

最後の言い訳にして。

もう二度と、意味もなく、

傷つける夜なんてないと。

同じ色の罪を幾度、重ねようとひとつにはなれない。

ねえ背けた、その顔をあげてよ。

 

 

つめたい壁に体を寄せた

黒ずんだ絶望の色はいつしか、

僕の瞳まで濁らせた

 

本物だけを咀嚼して、

惜し気もなく、晒して、

そんな風に全てを諦めて、委ねればいいの?

 

最後の温もりにして

力無く崩れてく、色の無い孤独な手首

同じ色の傷を幾つ重ねようと、笑ってはくれない。

開け放つ、ドアの先

 

 

狂いだしたこの腕は

もう一人では止まれない

言いながら冷えた目を、した君

ほらよく似た涙のカタチ

その頬を落ちてゆく

 

最後の言い訳にして。

もう二度と意味もなく、傷つける夜なんてないと

最後の温もりにして

滴った証にも、僕が理由をつけるから。

同じ色の傷を幾つ重ねようと

ひとつにはなれない

 

溺れゆく最後の海に

さあよく似た、絶望を。

 

 

blindness

 

気づいてないの?って

あなたが言ったから

疑いもなく、耳を塞いだ

わかってしまうよ、

同じ目をしてたから

 

あ、あ、あ、と、す、こ、し、

震えた体にあなたが怯えたら

ほらね、もう、終わり。

 

ねえ

要らないなんて言わないで

取り残された玩具の

窪んだ目と同じ、

忘れ去られて飽きられてゆく

生身の心臓を抉る予感に

また、崩されてゆく

 

 

理由はあるよって

その目は言っていた

言葉にしてくれない方が、痛いのに

 

あ、あ、あ、と、す、こ、し、

揺すぶられて戻れないなら

ここが、そう、終わり

 

ねえ

要らないなんて言わないで

せめて最後の一匙を

永遠に舌の上で焦らしていて

そんな風に縛り付けてたい

生身の心臓を抉る予感が

確信に変わる、までは

 

 

 

 

きっとあなたも知らない

あたしにだけ、わかる痛み

それだけが、

それでしか、

生きられない

 

ねえ

要らないなんて言わないで

その言葉の続きはもう

前のあいつで最後にして

そんな風に言えばまた

怯えた目をするでしょう

 

過剰な自意識に、

からだを明け渡したら

もう戻りはしないから

 

二度と見えない、奥深くへ

あなたを、閉じ込めた

 

 

Ash

 

遠く、降り始めてた雨が

ひとつ、この頬に届いた

今更、拾い上げる傘もなく

灰まみれの、街を泳ぐ

 

息を、止めるような灰の雨

無罪、だとでも言いたげに

緩く、この首を絞める

あなたの優しさに、似ている

 

不幸な顔をした、お前が嫌いだと

記憶の底、鈍い声が響く

選ばれなかった、灰かぶりはせめて

永く泳ぐこと願うの

 

 

 

才能も見てくれもすべて

思い知る度諦めて来た

今更あなたの望む形で

死んだように笑う、くらいなら。

 

 

歪な形の愛せない体躯

今一人、灰に沈んでゆく

望まれなかった灰かぶりの末路

…それでもいい

 

明日もしも、灰の雨が止んでも

愛されることは望まない

歪な身体で、呼吸をしたの

噎せ返る、敗北の中。

 

明日が見えないなら

灰まみれのまま、笑っていて。

 

 

 

シャルドネ

 

泣き崩れてゆく、

腐ってゆく君に失望してる

鏡越しに触れた、

指先は冷たかった

 

ねえ、わたし

その泣き顔を愛せそうにないよ

 

できるだけ、完璧なままで居てと

願うわたしは残酷だった

それでも笑う君が、

余計に理解らない、今もそう。

わたしと同じ君、

わたしと違う君、

そのどちらも愛せなかった。

 

ざんこくなひとだね、

眠りの端に声が落ちる

指先がつめたいのは

そのせいなのかもね

 

夜の向こう、

握り締めたシーツが歪む

 

大多数に認められる君より

ひとり憂う横顔を愛した

なのにすり抜けてゆく君が

余計にはかれない、今もそう。

 

 

 

完全なまま、汚れてゆく君なら

愛せる気がしたのに。

ああ、腐敗してゆく、

手中に、一房の、シャルドネ。

 

できるだけ、完全なままで居てと

願うのはわたしが不完全だから

曝すこともできずにいるから…今もそう

 

不完全な君だから

嫌いだと言えればいいのに

不完全なわたしだから

嫌いだと言っていいのに

 

腐り落ちた、夜はもう、戻らない

 

わたしと同じ君、

わたしと違う君、

そのどちらも愛せなかった、

愛せないの、今もそう。

 

 

雁字搦めの、青青青

 

手首を結ぶ

優しいその嘘で

あたしは此処に縫い付けられてく

何も望まない

頭には酌量の余地もないから

 

堕落した視界に

染まる一面の、青青青

蝕まれた爪先を

諦めることばかり得意で

 

チリリと走った痛みに目を覚ましても

もう逃げ場はないと

迫り来る水面に溺れるのを待つだけ、なの。

0にもなれないからだを

此処に縛ったのは、貴方なのよ。

 

 

 

あぶく

 

洗練された

細い、細い

狂うように

白い、白い

夜の底は消失点を隠す

生きる帳尻、合わせるように

 

夜のバルコニーで

君とふたり、

死に方の話をした

 

君が消えても代わりが形成が(でき)るよ

君のために世界は廻らないよ

身を投げた白さも、僕しか知らない

その危うさ守るために今日も生きてよ

 

 

選別された

弱い、弱い

這うように

白い、白い

夜の底は、じんわり溶けてく

間違った答え隠すように

 

夜のバルコニーで

君は僕に

話の続きをねだる

 

僕が消えても代わりが形成るよ

僕のために世界は廻らないの

張りつめた針の上、抱き合う僕等

その危うさ守るために今日も僕は

 

 

誰かと同じ目をした僕を

誰かと同じ僕の話を

君はまだ美しいと云ってくれるの?

 

 

君が消えても代わりが形成るよ

同じ温度を探してしまうよ

 

僕が消えても代わりが形成るよ

僕のために世界はもう廻らないの

ずれた記憶を愛してゆくこと

無理矢理に噛み砕いて君は、消えていった。

 

 

僕じゃなくても

よかったのにね。

 

 

魚は溺れない

 

 

そんな

海で

あたしのことなど忘れたでしょう

お互い

息を

することに精一杯でしょう

 

記憶が影が色が

あなたをかたどり首を絞めるのよ

今朝も夢のあとで

 

なのにどうしてあなたは

そんな綺麗な海で足掻いて、もがいているの

魚は溺れない

あなたには会えない

もうあたし、そんな綺麗な海見たくないの。

 

 

そんな

海に

あたしの名前は要らないでしょう

汚れた

海に

あたしは慣れてしまった

 

あたしの零した青が

その海にどれくらい流れてますか?

あたしを覚えてますか?…今でも。

 

だからこうしてあたしは

一番深いところにあなたを沈めているの

魚は溺れない

あなたには会えない

もうあたし、

汚れた海を愛してしまったの。

 

 

なのにどうしてあなたは

こんな綺麗な海を望んで足を浸すの

あたしは溺れない

あなたとはもう二度と

 

死んだ目の奥で揺れてる

あなたの青い青い海がすきだった

魚は溺れない

あなたには会えない

 

でもあたし、そんな綺麗な海見たくない

もう、見たくないの。

 

 

 

リュウグウノツカイ

 

わたしがひとりで、ぐしゃぐしゃになっていたら拾ってね。

次は海を泳ぐ、あのひとみたいになりたいと

望んでいたら叱ってね。

 

 

狭い部屋の

陽の当たる机に足を押し付けて

無意味に流れるテレビと

呼べば届く距離に

なんだか悲しくなりたいの

 

寂しさを忘れるくらい

愛おしく年をとるの

そして安らかにこんなこと

おもったりするんだよ

 

わたしがひとりでぐしゃぐしゃになっていたら拾ってね

つぎはひとりきり、リュウグウノツカイになりたいと

苦しんでたら殺してね

着々とうつくしいものを、求めるひとがすきだよ。

固執してさいごに、いなくなる人はきらいだよ。

 

 

 

こぼれ落ちる

砂糖の音にほころんで

無意味に優しいあなたの

嘘のない言葉にまた

なんだか悲しくなるのでしょう

 

優しさは伝染して

気づけば染まりだすの

そんな、活路を、わたしは

びりびりにしたいから

 

わたしがひとりでぐしゃぐしゃになっていたら拾ってね。

つぎはひとりきり、リュウグウノツカイになりたいと

夢見ていたら殺してね

どこまでもやさしいあなたがすきだよ

だから傍には居られないよ

 

 

 

腕の中であなたの体温が

冷えていくのは見たくないから

それが無理なら

ひとりにしてね

 

わたしがひとりでぐしゃぐしゃになっていたら

本当は拾わないでいて欲しいの。

うつくしいものを着々と求めてね。

約束はきっと守らないでね。

…あ、でも、

錆びたギターだけ、よろしくね。

 

 

猫にでもなりたい

 

あなたは毎朝、あたしの喉を撫でて

いい子にしてるんだよって、笑うんだ。

あたしは上手に鳴かなくちゃいけなくて

海へ向かう、その背中を見送るだけ

 

此処は一番優しい風の吹くところ

それでも飽き足りない、悲しい性のあなたは

今日も海へ、溺れにいくのね

 

いつだって、いつだって、

ずぶ濡れのまま、あたしを抱き上げて

もう何処にもいかないよ、なんて

あたしにもわかる嘘をつくの、つくの。

 

 

あなたは今日も、あたしの喉を撫でて

つよいこだねって笑うんだ

あたしは悲しい顔もできなくて

海へ向かう、その背中をそっと押すだけ

 

この灯台は独りで過ごすには優し過ぎて

それでも離れられない、悲しい性のあたしは

今日も前足、なめて待つの。

 

いつだって、いつだって、

ずぶ濡れのまま帰ってくるあなたが

もう何処にもいかないよ、なんて

信じられるわけないのにね。

 

 

あたしと出会うよりも

ずっと昔から

海に憧れるあなたに

恋をした

その瞳に燃える青に

恋をした

 

いつもより、すこしだけ

帰りの遅いあなたを迎えに

あたし、初めて海へ飛び込むの

はやく帰ってきて、はやく帰ってきて、

そして今日も暖炉のそばで

猫にもわかる嘘を吐いて

 

 

 

文学少女が笑わないわけ

 

手首を切っただけじゃ死ねないことなんてみんな知ってる

致死量の毒が、どれくらいなのかもわかってる

そんな知識を覚えた上で

あなたはあたしから鋏を取り上げるんだ

 

あなたはそうやって伺うみたいにあたしの瞳の奥を覗いてる

だからビー玉を嵌め込んだの

ふかいふかい海の色に

あなたが息をのんでくれますように。

 

あるはずのない海を、

あたしの瞳の奥に探して

そして死を忘れて

そこで初めて報われるよ

瞳の中で、揺れる海が

痛くないと笑えるよ

 

 

手首を切っただけじゃ死ねないことなんてみんな知ってる

あの花があたしを殺せることも知ってる

そんな本ばかり、読み捨てて

あなたは綺麗な手首でばっさりあたしを笑うんだ

 

 

海底都市

 

降り止まない雨が 街をひとつ沈める頃

あなたの溺れる夢を見る

ひとり、あおい部屋で

 

肺に流れ込む 水圧で息の止まる僕に

これ以上があるなんて、思う?

 

都会を泳ぐ

我楽多の魚に成って

いつかこの街が海に沈むこと望んでる

ああ、沈んでく、東京の、廃墟のようなこの部屋で

今度は、同じ色の夢を見させてよ

 

 

降り止まない雨が この街を沈めるころ

生き急ぐように夢を見る

ひとり、あおい部屋で

 

首に絡み付く

水草で死んだ気になる僕に

これ以上が、あるとでも、おもう?

 

都会を泳ぐ

我楽多の魚に成って

今日もあなたの 眠る家の屋根を探してる

ああ、沈んでく、東京の、廃墟のようなこの部屋で

死んだら、同じ色の夢がみれるかな。

 

 

都会を泳ぐ

我楽多の魚に成って

いつかすべてが海に沈むこと望んでる

ああ、今日もまた、夢を見る

廃墟のような部屋と

脈を打つ、絞め損ねた首を

 

都会を泳ぐ

我楽多の魚に成って

いつかあなたが海に沈むこと望んでる

ああ、沈んでく、

この部屋で、あなたの手を握り

今度は同じ色の体を

のぞむだけ